幼なじみとの距離
「わりぃ…」
「…っ!」
こんな近くで見たこと無いんじゃないかって位に近い位置に瞬ちゃんの顔。
「…はっ、離れてよ!」
一瞬見とれかけたけど、すぐにそう言ったのに――
「何で、泣いてんだよ」
ちょっと怒った声で言う瞬ちゃんの言葉で咄嗟に両手で顔を抑える。
「おい、ちぃ!」
「…なんでもない!」
「嘘つけ!泣いてんじゃねぇか!」
「泣いてない…良いから離れてよぅ…」
止めようと思えば思うほど、涙腺が決壊したみたいに溢れて来る涙。
「ちぃ?」
ずるい、ずるいよ瞬ちゃん。
いきなりそんな優しい声出すなんて。
「もうほっといてよ!早く綺麗なお姉さんの所でもなんでも行けば良いでしょ?」
「は?」
「可愛くない幼なじみなんか放っておいて早く行けば良いじゃない!」
「何だよ、いきなり…」
顔を両手で抑えてるから表情は分からないけど戸惑うような声。
こんな事言ったって、子供みたいに思われるだけなのに…
たった一歳の歳の差と、幼なじみっていう曖昧なポジションが、こんなに近くに居るのに距離を遠くしてる気がして、どうしようも無いことなのに苦しい。