甘い夜、苦い朝
夕暮れが待ち遠しくて
 
朝が来るたび、後悔する。

「ぎゃー、もうこんな時間!」
 
君と一緒に、暮らし始めてしまったことを。


「僕は早く寝て下さいって言いましたし、今朝もちゃんと起こしましたよ?」
 
毎朝毎朝、同じセリフ。
 
君はそう言いながら、ゆっくりコーヒーなんか飲んじゃって。


「空くん、今日講義あるんだっけー?」

「いい加減、覚えて下さい。水曜は二コマです」
 

私は寝癖を直すのに必死なのに。
 
今日も化粧なんてしてる場合じゃない。
 
女として終わってない? 外に出るような仕事じゃないけれど。


「大丈夫ですよ、茜さんはすっぴんも素敵です」
 
にらめっこしていた私を鏡越しに覗いて、そんなことをさらりと言う。
 
時間ないでしょう?
 
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