甘い夜、苦い朝
夕暮れが待ち遠しくて
朝が来るたび、後悔する。
「ぎゃー、もうこんな時間!」
君と一緒に、暮らし始めてしまったことを。
「僕は早く寝て下さいって言いましたし、今朝もちゃんと起こしましたよ?」
毎朝毎朝、同じセリフ。
君はそう言いながら、ゆっくりコーヒーなんか飲んじゃって。
「空くん、今日講義あるんだっけー?」
「いい加減、覚えて下さい。水曜は二コマです」
私は寝癖を直すのに必死なのに。
今日も化粧なんてしてる場合じゃない。
女として終わってない? 外に出るような仕事じゃないけれど。
「大丈夫ですよ、茜さんはすっぴんも素敵です」
にらめっこしていた私を鏡越しに覗いて、そんなことをさらりと言う。
時間ないでしょう?
< 1 / 3 >