ボタンは上から1つ半
そして。
開いた首元から覗く鎖骨を指でなぞり。
唇を寄せた。
それ以上ボタンは外さないで。
見えそうで見えないのが堪らないんだから。
このシャツは他のシャツよりボタンの数が多い。
だから2つめのボタンの位置が普通のシャツの1つ半の位置になる。
「…変態」
頭の上からため息混じりの彼の声が聞こえたけれど。
そんなのどうでもよかった。
「外出るときはもう1つボタン閉めてね」
「…なんで?」
「見せたくないから」
そう。
私だけが知っていればいい。
この絶妙な“1つ半”は。
【END】