【密フェチ】切ない指先
切ない指先
今にも雨が降りそうな灰色の空。
数年ぶりに実家に帰るため、電車に乗っていた。
4人掛けの席の窓際に座り、田舎町の流れる景色を見ていた。
「綺麗な手してるね」
「そうか?」
「うん。私、アナタの手、好きだな……」
「手だけ?」
「そんなわけないじゃん」
反対側の4人掛けの席に座り、笑顔で会話する若いカップル。
彼らのそんな会話が聞こえてきた。
< 1 / 5 >