跪いて、愛を誓って【密フェチSS】
1.
遮光カーテンの隙間から射し込む朝日で目が覚めた。
隣には、すやすやと寝息を立てる彼の寝顔が見える。
もう何度も一緒に朝を迎えたけれど、彼がわたしより先に目を覚ますことは一度も無かった。
何もかも、無防備過ぎる。
剥き出しになっている背中も、柔らかな髪についた寝癖も。
わたしの唇の感触に気が付いて、僅かに震える長い睫毛も。
彼は知らない。
わたしがこうして彼と朝を迎える度に、迷っていることを。
何の約束もなく、甘ったるい感情だけで関係を続けていけるほど若くはない。
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