お嬢様は執事様!
「キャッ!」
引っ張られて着いた目の前には
女子の制服が。
顔をあげると そこには
綺麗な顔の女の人がいた。
「あ!申し訳ありませんっ。」
自分がお嬢様の胸に収まる形に
なってることに気付き、
あたしは慌てて離れた。
「いいのよ。
あたしが引っ張ったんだもの。」
耳に響く声は、女性にしては低く、
それでも心地の良いものだった。
じっくりと顔を見てみると
ほんとに綺麗な人で…。
「キレー…。」
「ふふ、ありがとう。」
あ!あたし、声が漏れてた。
でもよく見たら
同じ女かってぐらい綺麗な方。
女のあたしでも惚れちゃいそう。
「それよりあなた…
あたしの執事になって下さらない?」
ボケーっとその女性の顔を見ていた
アホ面のあたしに、予想外の誘いが
舞い込んできた。
自分から誘うのも恥ずかしいし、
まだ誰とも決まってないし…。
なんて言ってもケバいお嬢様よりは
こっちの美人お嬢様のほうが断然いい。
しばし考えたあと、あたしは決断した。
「宜しくお願いいたします、お嬢様。」
そしてこれから一週間、あたしの
ご主人様となる人に深々にと
御辞儀をした。