お嬢様は執事様!
別にあたしは名前を
忘れたとかいうわけじゃない。
ただなんか恥ずかしくて
“青山くん”と呼び続けていた。
「あー…お前バカだから忘れたか。
ほら!言ってみろよ? 俺の名前。」
「忘れたわけじゃないもん!
青山大和! これでしょっ?」
「なんだ、わかってんじゃん。
これからは下の名前で呼べよ?
瑠奈ちゃん?」
そう言って妖しく笑う青山くん。
なんであたしが言うこと
聞かなきゃいけないわけっ?
「い や で す !
それと、これとは話が別!」
「…いいから早く呼べよ。
じゃないとまた キスすっぞ。」
キ、キッス?!
それを聞いてあたしの体温は
一気に上昇する。
「キスはダメっ!
ちゃんと呼ぶから!」
「はい、じゃどーぞ。」
手をマイクみたいにして
あたしに向けてくる。