欲情スイッチ
switch on
「ねえ」

洗面所の鏡の前でシェービングしている姿をジッと見つめ、終わった彼に声を掛ける

「ああ…」

そう言って剃ったばかりの横顔を私の目の前に持ってきてくれる

私は彼のスベスベになった肌に鼻を刷り寄せ、何時ものシェービングジェルの香りと感触を確かめる

「あ~、堪んない」

これが同棲中の彼との日課

「しかし、毎日見事な変態っぷりだよな」

「今更なによ、タクだってストッキング履いた足スリスリして『堪んね~』って、
その後必ず『破っていい?』って言うじゃない、そっちこそ見事な変態っぷり」

負けず嫌いの私は透かさず言い返す

『破っていい?』って聞かれるけど、
『いいよ』と言ったことは一度もない

だって、そうそう破られてたら何枚あってもたりないし、お気に入りとかもあるし、それに

ちょっと怖い…
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