天神学園高等部の奇怪な面々24
「お、お化け…!」

五所川原を抱き締め、震える声で絞り出した精一杯の言葉がそれ。

子供の思考に近い彼女が、見たまま思いついたままを言葉にしたものだが、それは実に的確にそれ…『影』を表現した言葉だった。

人間でも動物でも人外でもない、明確に分類分けできない影は、まさしく化け物と分類される存在かもしれない。

花音の背後だけでなく、行く手にも、手摺りからも、ゆっくりと起き上がってくる黒い物体。

花音はクシャリと顔を顰めて思う。

(酷いよカラス君…私をお化けの所に案内したの?お化けに食べさせる為に、私を誘ったの…?)

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