天神学園高等部の奇怪な面々24

「その兄というのは、橘 拓斗（たちばな たくと）の事か？」

けしからん娘と花音、二人の背後から声がした。

見れば教室の後方の席…花音とどちらが大きいかというくらい小柄な少年が、肩に一振りの日本刀を立てかけて座っている。

「えと…確か…」

「夕城 善（ゆうしろ ぜん）だ」

けしからん娘が名前を思い出す前に、善は自ら名乗った。

夕城分家の長、夕城 源十郎の一人息子。

宗主の夕城夫妻のもとで剣技を磨きたく、同時に世継ぎの立派な師になれるよう、遥々天神学園に転校してきた。

「完璧超人とやらの下で修行をしている二人組を見かけたものでな…デカイ方は丹下 龍太郎（たんげ りゅうたろう）とかいったか…技は荒いがなかなか見所がありそうだ…拓斗の方も、基礎鍛錬を根気よく反復している…基本の型こそ最強…奴は強くなる…」