天神学園高等部の奇怪な面々24
『夕城の剣客は剣腕ではなく、刀ではなく、魂で、気迫で斬る』

これまで何度となく父から、宗主から聞かされた言葉が、善の脳裏を稲妻の如く閃いた。

「……!」

黒曜の瞳を見開き、今一度、菩薩の柄を握る手に力を込める。

銘刀、剣技。

そのような小手先の技術や得物に、どうして頼るのか。

剣で強くなるには、銘刀さえ握ればいいのか?

剣で強くなるには、技さえ模倣すればいいのか?

「否」

自信に溢れた声で否定し、善はゆっくりとしゃがみ込む。

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