ヌード×モデル【密フェチ】
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「モデルになってくれないか?」
彼に初めて掛けられた言葉がそれだった。
無表情で髪を掻き上げる彼の長い指を、私は呆気に取られるように見つめていた。
クラスメイトだけど、一度も口を聞いたことがない。
かっこいいけど無口で無愛想で、彼は遠い存在のように思っていた。
「君に絵のモデルになって欲しい」
彼が美術部だという事を、私はその時に初めて知った。
モデル…私は眉間にしわを寄せて悩んだ。いや、悩んだ振りだったのかもしれない。
彼がどんな絵を描くのか見てみたかった。
誰もいない放課後の美術室。
指示されるまま、私は教室の片隅に腰掛ける。
彼は淡々と支度を始めると、さっそく作業に取り掛かった。
真剣な眼差しで、私の体を見つめる。
私は彼の視線から目を逸らすように、ペンを握る彼の指をじっと見つめていた。
女性のように細いけど、節々がゴツゴツとしている指。
彼は会話もせず、ただ黙々と手を動かし、絵を描いていった。
静かな空間で小刻みに揺れる指を眺めていたら、なんだか眠くなってきた。
振り子のように揺れる指を見ながら、私はゆっくりと目を閉じる。
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