密空間

生意気な後輩だ。

「なんであんたなんかと」

「ホテルの話なんてするからじゃないですか」

信号で停車。

ナビのディスプレイで妖艶に照らされ、

ポップなBGMに彩られるこの空間。

車内とはつまり、動く密室だ。

この距離で迫られたら逃げられない。



想像するだけで、熱い息が漏れる。

ホテルなんかよりずっとドキドキする。

私ならラグジュアリーなホテルより

ドライブに誘ってほしい。



だから私は、

好きな人の車にしか乗らないことにしている。


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