密空間
「良い眺めね」
思わず漏れた本音に、再びあの笑い。
「まだ見てないじゃないですか、夜景」
「夜景? そんなとこ連れてきて、私を口説くつもり?」
「口説かれてるのは俺の方ですよ」
ハンドルを握っていた指が私の頬を撫でる。
私が想定していたよりずっと良い使い方を知っているなんて、
ほんと生意気。
「じゃあ、イイコト、する?」
「ラグジュアリーなホテルで?」
ううん、ここで。
と言いたいとこだけど。
「今日のところはあんたのベッドで我慢しておいてあげる」
fin.