眼鏡をはずして
眼鏡をはずして
「何度言えばお前はわかるんだ?資料、間違い多い。今すぐ直せ。」
「はい!すみません!」
今日も叱られてばかりの私。
厳しい指導で有名な彼は、イケメンにもかかわらず女性社員には人気がない。
泣かされた同僚も数知れず――-
矢島 圭介。
“女泣かせの矢島”“鬼メガネ”だとか、社内では有名な先輩だ。
「アンタ、よくあの矢島について行けるよね?」
隣りの席の同僚が鏡を覗きながら言った。
“あの眼鏡の奥には悪魔がいンのよ”と。
レンズ越しに覗くその瞳に、私の胸はどうしようもなく狂い出す。
< 1 / 2 >