『ユビサキ』
これから襲うであろう痛みを覚悟して、固く目を瞑る。

でも、痛みはいくら待てども来なかった。


…彼が、私の腰に手を絡ませて支えてくれたから。


「あっぶね。」

いつもと変わらない態度の彼に、触れられた手の感触に集中して身を固くする私。

…声が、出ない。


「…?どした…」

心配そうに私の顔を覗きこむ彼。

でも次の瞬間、


「お前、ヤラしい顔してる」

ニヤッと笑った。
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