君を迎えに
彼が転入してきたのは三年生の春だったけど、それから一年経った夏。
たまたままた同じクラスになり、私はプリントの配布係になった。
「越野…越野…」
机の名前シール目でおいながら彼の席をさがした。
席を見つけ、数学の返却プリントを置こうとしたとき。
「…!」
きれいな蝶が描かれていた。
鉛筆で丁寧に書き込まれた机上の落書きはとても『落書き』なんて言えないようなもので、私はつい見とれてしまった。
「あっ!越野の机、すげぇ!」
「!」
はっとして振り返ると、クラスの男の子がこっちにきていた。
「えっ、すごーい!越野くん絵じょうずー!」
「どれどれ、見して!」
わらわらと人が集まってしまって、私はうろたえた。
丁度その時、トイレに行っていた彼が戻ってきて、大きく目を見開いた。
「…っ!?」