君を迎えに
びっくりするような早さで机にかけより、慌てて全て消してしまった。
「っ、見んなや…!」
はじめて聞いた彼の言葉は思いもよらずキツかった…。
それから彼は図工のある日に学校を休むようになってしまった。
写生の時間、私は上の空で彼の絵を思い出していた。
あの蝶を、キャンパスに描いたら。
あの蝶に、色がついたら。
あの蝶を、目の前で描いてくれたなら…。
どんなにいいものだろう。
いてもたってもいられず、放課後、学校を飛び出して彼の家まで行った。