瑠璃の風
ここは僕のお昼寝場所。
冬は陽が高くなると、岩の表面が温かくなってとても気持ちがいい。夏は熱くなりすぎるので岩の影で寝る。
でも、今はそんなことはどうでもよくて……。
「ごめんね。」
彼女は腰を上げた。「ばいばい。」と僕に手を振る。
あ。
行かないで。
なぜか、彼女のそばにいたいと感じた。
行かないで。
「……一緒に座ろう?」
僕は言ってしまってから後悔した。
彼女はひとりでいたかったのかもしれない。
こんな時間にこんな場所にくる者はほとんどいない。ひとりになれる場所を求めてこの海にやって来たのかもしれない。
「嫌じゃなかったら、だけど……。」
そう付け加えた。
だから、彼女の顔に徐々にに笑みが広がっていくのを見ると、僕まで嬉しくなった。
彼女は元気よく「うんっ。」と頷いた。