恋。ときどき雨
『どうした?』
「美弥が・・・色が視えてパニックに
なってる」
『色が?何か思い出せたのか?』
「わかんねえよ・・・どうしたら戻る?」
『美弥の場合、パニックをなんとか
しないといけないから・・・暗い場所に
行ってみるといいよ』
暗い場所・・・
暗室か・・・!
美弥の手を引いて移動する
『美弥の記憶、少し戻ってるな』
「・・・なんでわかる?」
『同類だから。お前のおかげだよ』
俺のおかげ・・・
いや、俺のせいだ
「・・・サンキュ」
それだけ言って、電話を切る
「どこ、いくの?」
「暗室。とりあえず、暗い場所だ」
「私、治る・・・?」
治る
ことはないんだよな・・・
「・・・わかんねえ」
俺はそれだけしか言えなかった
美弥は、黙ってついてきた