恋。ときどき雨
ギィ・・・
屋上の、重たいドアを開く
そこにいた
たった1人の、大切な人
かけがえのない・・・
美弥
被せられた、男の上着の中で
寝ているのか
気を失っているのか・・・
安らかに、眠っている
「絵、見たよ・・・お前の絵」
《私の記憶》
そう題名に書かれた
美弥の絵
そこには、教えたものしか
描かれてなかった
でも、大切な美弥の記憶だった
「・・・起きないのか・・・?
・・・起きるよ、な・・・?」
美弥の横に腰を落とす
下では、賑やかに騒いでいる人達
もうすぐ、文化祭も終わる
決して、いい思い出なんて言えるほど
楽しんでないけど・・・
「お前が見つかったから・・・いいか」