恋。ときどき雨
何もなかったかのように、
歩く千里
その目はもう、普通に戻っていた
「ねぇ、どっちがお兄さんなの?」
由姫が智樹って方に向かって言う
「・・・・・・・・・」
無視、ですか・・・
「俺が兄で、智樹が弟だよ」
無視した智樹って子の代わりに
千里が答える
「へぇ・・・智樹って呼んでいい?
私、敬語とか『君』ってつけるの
苦手だから」
そう言って智樹を視る
複雑な色・・・
濃い青・紫・灰色・・・そして、赤
ゆっくり、穏やかに周りの景色に
溶け込んでいく
色は、全てに意味がある