私の媚薬


「だめ……限界……」


本能が支配した体から僅かに零れた言葉。


そのまま無我夢中で彼にしがみついた。



両腕は彼の背中に。


顔は首筋に近付けて。



ワイシャツに鼻を押しあてる。



彼も私をきつくきつく抱き締め返す。



「加賀くん……」


「……咲季」


どくんと心臓が跳ねた。

名前を呼ばれただけで、体中が熱くなるなんて。


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