激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
「まだ何も言ってないじゃない。気が早いわね」
「申し訳ございません」
音をたてずに細心の注意を払いカップを奥様の手前に置く。俺が研究した最も手の届きやすい角度と位置だ。
すると、紅茶のかわりに問題のツボ押しがトレイに置かれた。
「柏原くんのアッサム最高に美味しいわ。ああ、若返っちゃう」
笑顔でカップを傾ける奥様に、茉莉果様もプディングを銀のスプーンで頬張っている。
そのトレイに乗せられた木のツボ押しには、よく見ると悪魔の化身のような男性の顔が彫り込まれている。
とてもスコットランドの女王が愛用していたとは思えない。
むしろ……呪いがかけられていないかを心配するべきか?
絶対にツボ押しではないことは、一目瞭然だ。あとで調べる必要がありそうだ。