激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
グレートホールの、高い半円状の天井が見事だ。
舞踏会と呼ばれるものには、足を踏み入れたのは久々だな。
きつい香水の匂い、酒と料理の入り交じる匂いは、あの頃と何も変わりない。今は自分が執事としてそこにある。
『まあ、素敵なバトラーさんね。マーティン家では見かけない顔だけど……シャーベットを一ついただけるかしら?』
俺は、ニコリと微笑みシャーベットを差し出す。
『キャッ!! 見たことないカッコいいバトラーがいるわよ!』
『ホントだわ、私にもシャーベットをくださる?』
窓まであと数歩……。
わんさかと集まってきた、キツい化粧の女達。原型がわからないだろ。
シルバートレイのシャーベットは一瞬にしてなくなった。
『追加を頼んで参ります。失礼いたします』
『ちょっと待って、良かったら私の部屋に運んでくださらない?』
『シャーベットはいいから、少しでいいからお話をしてくださらない?』
『いいえ、私の部屋に』
『何言ってるの、私の所にいらして!』
言い争いをはじめた女達。彼女たちを振り切ると窓枠に手をかけた。
───お嬢様は、どこだ?