激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
主と執事。その関係は、同等でない。
胸を占めたこの思い……苦しむのが目に見えていても、抑えることができない。
「わかったわ。いいの。
ゲストルームに戻るわ柏原」
俺は、この事で何度も彼女と自分を比べてしまうだろう。その蟠りは消えることはないのかもしれない。
「……お嬢様、パートナーにご挨拶を」
茉莉果様は、フワリとドレスの裾を揺らし意気消沈したイーニアスに可愛らしく頭を下げた。
「イーニアス、メアリーとツボ押しの伝説。面白い話だったわ。素敵な舞踏会をありがとう」
つ……ツボ押し。またその話か……
背筋を伸ばし颯爽と去るお嬢様は一流のプリンセスだ。
「カシワバラ、気が向いたら、いつでもマーティン家へ遊びに来てくれ」
切ない蒼の瞳に、真っ青になりながら鳥肌たった全身を奮い立たせ、柔らかな後れ毛を弾ませながら歩くお嬢様の背中を追う。