激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
第19話 もしも貴女が……


 我が主、茉莉果お嬢様には可愛らしい趣味がある。


 童話が好きで、本棚には絵本が溢れている。ヨーロッパ旅行の際に購入されたフランス語やイタリア語の絵本や、赴きあるきらびやかな挿し絵が施された高価な絵本などが、彼女の大切なコレクションなのだ。



 そのコレクションを眺めながら、純白のネグリジェに身を包み、彼女は首を傾げた。



「ねぇ柏原、普通に読むの飽きちゃったから、今夜は、もしもごっこをしましょう」

「もしもごっこ?」


 ということは、このまま素直には眠ってくださらないということか?


 お嬢様は本棚から一冊抜き取ると、ベッドの上にフワリと座る。


「例えば、私が人魚姫だったらどう? 柏原、想像してみて」


「茉莉果お嬢様が人魚?」








─────陸地からは程遠い海の底

 日の光が微かに揺めき、幻想的な世界を造り上げている。

 決して人間には見付からぬように彼等は、ひっそりとそこで生活をしていた……


 もしも貴女が……

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