激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
ベッドに座る本物の彼女が、俺の差し出した手を握りしめた。
「それ、悪くない……」
だろう? と首をかしげてみせてから、彼女の頬に指を這わせた。
顎を少し持ち上げて、その唇を奪おうと狙いを定める。
「だけど王子様が出てこないじゃないのよ! 私は王子様が好きなのよ、セクシーで無駄に美形な怪しい海賊より、イケメン王子が好き!」
「王子ですか? それでしたら……」
─────そこは、呪われた城だった
茨で覆われた城壁
暗雲立ち込める雲
光り鳴り響く雷鳴
誰もが、恐れ戦き
誰もが、足を踏み入れぬ。
その城で、一人の可憐な姫が眠り続けていた。