激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
「失礼ながらお嬢様。このように大衆に紛れて、地面に近い場所での食事となりますと、貴女のような高貴なお方には不向きかと思われます。
いかがですか? 車窓から眺める桜も、趣と風情がございます」
俺があんな場所に行くのが嫌だ。こんな訳のわからないことを言い出す小娘連れて大衆の面前などに出たくない。
「あのね、お母様の出身校の桜ヶ丘学園てのがあるのよ。去年におばあ様に連れてってもらったの。理事長に電話して、学園でお花見しましょうよ♪ 柏原」
腕にまとわりついて甘い声を出すお嬢様に、ため息をつく。
学園なら、まあ、いいか……休日だし人もいないだろうから。
「かしこまりました。すぐに手配いたします」
普段からお嬢様の提案は98%乗り気ではないのだが、この我が儘娘は言い出したら聞かない。
「やった! 柏原、大好き!」
俺の肩に頭をのせてきた小娘を払いのけて、「準備がありますので」と咳払いした。
気安く触るな、と睨みつけても彼女は嬉しそうに笑っていた。