激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集

 燕尾服の胸元から薄黒い携帯を取り出すと料亭の若女将に電話をする。


『まぁー!柏原様、お久し振りでございます』


「ああ、突然だが花見用の弁当を大至急用意できるか?」


『もちろんです!』


「桜ヶ丘学園まで大至急届けて欲しい」


『よろこんで。柏原様にお会いできるなんて、嬉しいです……』



 そうだ、女なんて皆こんな反応するのが当たり前なんだ……なのに小娘ときたら……


「柏原、まだなのかしら? 早くしなさい。桜が散っちゃうわよ」


 彼女はエントランスホールの椅子の上で、足をばたつかせている。


……いつか、その足を縛り上げてやる。


 はあ……と深く息を吐き出すと、笑みを浮かべた。



「お待たせしました。参りましょう」



 心の中だけで小さく舌打ちをして、車のドアを開けるとお嬢様は満足そうに車に乗り込む。



「理事長がお嬢様にお会いできるのが楽しみだと仰っておりました」


「優しいのよ。あのテカテカ」




 テカテカ? とは、なんのことだ?



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