激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集

 口さえ開かなければ……彼女は綺麗だ。



「綺麗ね」


「そうですね、お嬢様」



「おばあ様がいなくなっちゃって、寂しくてたまらないわ……」 


 風に舞い散る花びら、桜は美しく咲き乱れる。


「でもね、今年は柏原と一緒に桜が見れて嬉しいわ。こっちに来て一緒に見ましょう……と思ったけど、


 やっぱりお腹すいたわ! お弁当は?」


 ガクッと肩から転びそうになり、慌てて体制を立て直す。


 だよな? 貴女は、きっと一生その調子だろう。



「お待ちください」



 お嬢様は満足そうに頷きまた桜を見上げる。


 車に戻ると風呂敷を持った和服姿の女将がキョロキョロと辺りを伺っていた。



「柏原様!」


 女将は俺に気づくと、草履を鳴らした。


「ありがとう」


 女将と言っても俺とたいして年齢はかわらない。お嬢様にはない大人の色気が溢れている。


 着物が良く似合い、その下に隠された豊満な体は男なら一度は抱いてみたいと思わせるほどいい女だ。



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