激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
第9話 風邪の緒症状
────眠りこけている主人の様子を伺いに部屋へ向かう。
扉を三回ノックして、ゆっくり開いた。
「茉莉果様?」
部屋は暗く起きている気配は、ない。
本当に朝まで眠るつもりなのか? 夕食を食べなくて大丈夫なのだろうか?
ベッドサイドに腰かけて、ブランケットにくるまったお嬢様の肩を優しく揺する。
「お嬢様、そろそろ私は下がりますがよろしいですか? 夕食は部屋に運んでおきますから、お目覚めになりましたら食べてください」
お嬢様の横顔がブランケットから少し見えた。その表情は、堅い。
何かいつもと様子が違う。
「茉莉果様?」
白手袋を外し、失礼いたします。と手を伸ばした。
その頬に触れると、熱い……