激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集
第13章 雨と涙のお嬢様
───茉莉果お嬢様は雨を忌み嫌っている。
何がそんなに嫌なのかを問いただした事はないが、彼女の祖母が亡くなったのが激しく降りつける雨の日だった。
法要が行われる七日間、ずっと雨が降り続いた。
俺は彼女に仕えて日も浅く、故人がご健全だったころの様子は聞いた話でしか知らない。
『おばあ様は、私達の涙が見たくないから雨で隠してくれてるのよね』
そんなことを当時のお嬢様が呟いていたのを、よく覚えている。とても印象的だったからだ。