会いたくなったら、上を見上げて
「志穂が俺になったら、痛くてすーぐ死んじゃうな」

「自信あるな〜……」

死。って……。

「おいおい、泣くなって」

「そんなに痛いの?」

「ん〜。そりゃもうバツグンに☆」

そんなに痛いのに……。
私なら死んでしまう痛みなのに……。
どうして?
何で?
なぜ……?

「ねぇ、痛いんでしょ!?痛いんでしょ!?」

「何? いきなり。どうしたの? 泣くなって」

「痛いなら、笑ってる場合じゃないじゃん」

両手で健ちゃんの手を握った。

「痛いの痛いの痛いの! お空の彼方に飛んでけ!! 痛いの痛いの痛いの! お空の彼方に飛んでけ!!」

私は無我夢中になって、健ちゃんの痛みを癒そうとした。

「どう? 少しは、けっこー効くんだよこれ……」

「志穂って……。すっげーいいな。まじかわいいよ。サンキュー志穂」

不思議な彼の笑顔。
朗らかで。
優しくて。
透き通った笑顔。
男の子に、そんなふうに言われたの、初めてで。
すごく……。
すごくどきどきした。
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