会いたくなったら、上を見上げて
待ってて、健ちゃん。
何だか気持が少し楽になっていた。
足取りも軽く、ステップが踏める。
アルプスにいるみたい。
空中ブランコもできそうなくらい、体も軽い。
なんだか……。
なんだか、魔法使いに魔法をかけられたみたい。
もしかしたら……。
もしかしたら、今なら飛べるのかもしれない。
鳥のように。
羽を貰った天使のように。
空の彼方まで。

「I can fly away」

思わず口に出してしまった。
しかも、なぜか英語。
周りからの視線。
ハズイ!
ハズイハズイハズイ!!
恥ずかしい!
とっさに顔を隠す。
辺りをきょろきょろしてみた。
みんなまだ見てる。
もう駄目!
思わず走ってしまった。
その場から逃げるように。
そのままトイレに駆け込んだ。
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