会いたくなったら、上を見上げて
「ここ……。だよね」

病院に着いた私の息は上がりきっていた。
不安と恐怖が入り混じって嫌な気分だった。

「お父さん。お父さん」

その場で泣き崩れたくなった。

「今行くから。死なないで……。お願い」

中は暗く。救急入口の明かりだけが灯る。

“どこに行ったら。どうしよう。どうすればいいだろう……。ねぇ〜。誰か……誰か教えて……。こわいよ”

「こっち、こっちだよ。大丈夫。怖くないから」

パニくってた私に、手を差し伸べてくれたのが彼だった。
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