会いたくなったら、上を見上げて
ピーン。
開くドア。
気がつくと十五階。
ここの病院、こんなに高かったんだ。
ふと思った。

「さっ、行こ!」

また健ちゃんに引っ張られ、今度は階段をのぼる。

「大丈夫? 健ちゃん」

「大丈夫だって。志穂だって大丈夫なのか?」

「私は全然平気だよ」

「こほっこほっこほっ」

「大丈夫? きつくない?」

「あぁ〜平気」

うぅ〜……。
あぁ〜……。
もぉ〜……。
何だか……。
何だか素敵。
共に支えあいながらのぼる階段。
ロマンティック。
憧れ。
次第に、私も健ちゃんとのデート、楽しみたいと思えてきた。
徐々に見えてくる。
扉。
階段をのぼりっきたとこにある扉。
扉の向こうにはきっと。
きっと別の世界が待ってる気がする。
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