会いたくなったら、上を見上げて
今までに、これほど素晴らしいモノがあっただろうか?
いや、なかった。
今日が初めて。
ありがとう……。
……ありがとう健ちゃん。
……心からのありがとうを、あなたに……。

「志穂? どうした?」

「ええっ!?」

「疲れたのか? 足が止まってるぞ」

「ごっごめんね。ちょっと考え事しちゃって」

今までのは、現実の世界じゃなくて……私の空想。

「また俺のこと考えてたのか?」

「まっまぁ〜。」

「体なら大丈夫だって」

「うっうん。……実は、この扉の向こうに、何が待ってるのか考えてたの」

「ふう〜ん」

「素敵なモノでしょ?」

「さぁ〜な。扉開けてからのお楽しみってことで」

「うん!」

「んじゃ、早く行こうぜ!」

でも、現実であり、空想の世界がもう目の前に。
扉の向こうには、何が待っているのだろう?
何が私を出迎えてくれるのだろう?
きっと素敵なもの。
きっと素晴らしいもの。
きっと。
……きっと。
きっと私を待っている!
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