会いたくなったら、上を見上げて
「志穂。座ろ?」

私はシロップを抱えたまま、健ちゃんの隣に腰を下ろす。

「健ちゃんすごいよね」

「何が?」

「ふっ、フツーあんまり面と向かって、カワイイとか、そゆの言うってできない気がするよ……うっ、うれしーけどさ」

「そう?」

体をもじもじさせる。
恥ずかしい。
顔がもう真っ赤なんだと思う。
耳がアツイ。

“あぁ〜何言ってんだろ? 私……”

下を向く。
シロップと目が合った。
“わぁ〜わぁ〜わぁ〜。恥ずかしい恥ずかしい。チョー恥ずかしい。犬なのに、今の私は、犬にまで見られたくない”

「でもさ」

ふと、健ちゃんが語り出す。
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