会いたくなったら、上を見上げて
満月の世にサヨナラ
健ちゃんといっぱい話した。
時を忘れて。

「おいでシロップ」

私はシロップを呼んだ。
けど、シロップは近寄ってこなかった。
ちょっと悲しい。

「志穂のこと少し警戒してるのかな? こんなにちっこいのに」

「もぉ〜。背が低いこと、多少気にしてるのに」

「ははは。でも、ちっこいから志穂なんだよ」

「ほんと……!」

「ん、ゴホッ! ゴホッゴホッ!」

「だ、大丈夫?」

「ケホッ……ん……、平気……」

すごく濁った咳。
息がヒューヒューしてる。
息があがってきている。
だるそうな体。

「部屋に戻ろ?」

「うん……」

私は健ちゃんの肩あずかる。
驚いた。
健ちゃんに全く力が入っていない。
このままじゃまずい!
そんな感じがした。
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