会いたくなったら、上を見上げて
混乱して上手く伝えれない

“伝えなきゃ! 健ちゃんのこと!”

「健ちゃんが……健ちゃんが……」

これ以上私の口から言えなかった。
倒れたなんて、言えなかった。

「健ちゃんって? 健一君のことかい?」

「…………」

私は何も言えなかった。
ただ頷くことしかできなかった。
先生は、ただちに電話をした。

「健一君の状態が変わったみたいだ。すぐ見に行ってくれ」

病室?
健ちゃんは今病室にいない。

“屋上にいること! 伝えなきゃ!”

「健ちゃん、屋上にいるの」

「屋上に!? いったいなんで? すぐに行こう」

そう言ってくれた先生のお陰で、健ちゃんは病院内に運ばれた。
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