会いたくなったら、上を見上げて
月の下の奇跡
健ちゃんがいない世界。
出会いには、別れが付き添うもの。
わかっている。

“でもこんな別れ方って……”

待合室で泣き崩れる。
涙が目から溢れる。
手でぬぐっても、ぬぐいきれない。
じわじわと溢れてくる。
止まらない。

“健ちゃん……。いかないで……。健ちゃん”

「志穂」

誰かが私を呼んだ声。

“誰?”

振り返った瞬間。

“え!”

驚きが隠せなかった。
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