会いたくなったら、上を見上げて
「わっ!?」

健ちゃんが私を抱いてくれた。

「健ちゃ……?」

「志穂はこれから、たくさん恋をして、必ずいい奴とめぐり会って、結婚して、子供産んで、あったかい家族作って、うんと幸せになるんだから、泣かないんだよ。約束したよね。俺のことで泣かないって。今回は見逃してあげる。でも、次はないからね」

「うん」

「好きだった。志穂」

その言葉を聞いた瞬間。
また涙が溢れてきた。

「っ……私……」

泣かないって、約束した。
けど……。

「私もね、健ちゃんのこと好っ!」

言葉を言い終わる前に、唇を交わす。
健ちゃんとのキス。
顔が赤く染まる。

「その言葉の続きはとっとく。向こうで聞かせて……。月で待ってる。いつか……、いつかきっと、会いに来て」
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