会いたくなったら、上を見上げて
薄れていく健ちゃん。

「健ちゃ……ん」

「志穂の幸せをいつも祈ってるよ」

透き通った笑顔。

「健……!」

私は空に消えていく健ちゃんを捕まえようと、手を伸ばした。
しかし、健ちゃんは消えてしまった。
目の前に、花の咲いた月下美人があった。

“あっ!”

‘満月に咲く晩は、奇跡が起きるとか……’

「キミこんなとこにいたの……!」

「健ちゃんが……今」

“それは、月と花が見せてくれた、夢だったのかもしれない”
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