会いたくなったら、上を見上げて
「ねぇ健ちゃん。ネリネの別名知ってる? ダイヤモンド・リリーって言うんだよ。キラキラと輝くからなんだって。健ちゃんみたいでしょ?」

少しの間、考え込む。
健ちゃんとの思い出が、走馬燈のようによみがえる。

「幸せな思いでをありがとう。行こ、シロップ」

「ワンッ」

私は、振り返ることなく立ち去って行った。
泣いていたから。
もう、健ちゃんの前で泣かないって、二度も約束したから。
泣いてたから、振り返ることができなかった。
月から私の事、見守ってるんだよね?
健ちゃん……。

今宵の月。
大切に思う人は、いつも私のそばにいる。
見えなくても……。
そこにいる月のように、そばに感じている。
切なく、あたたかい彼の祈りが、今も届いているから……。
奇跡の花咲く月夜の間、この世、常夜のお話を……。
もう一度、笑顔の君へ……。


                 END
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