いきなり王子様
「俺が『おじちゃん』なら、奈々はその頃『おばちゃん』だぞ?」
くすくすと聞こえて、はっと視線を向けると。
竜也と璃乃ちゃんが私を見ながら笑っていた。
血の繋がりがあるから当然だけれど、同じ輪郭で同じ瞳の色。
笑うと上がる口角の角度まで同じだとくれば、二人の絆を強く感じずにはいられない。
良く似ているのは見た目だけではなくて、喉を震わせている笑い声もそっくり。
そんな二人と一緒にいる私は、ほんの少しの疎外感。
竜也とだって、親しくなってからはほんの短い時間しか経っていないし。
それでもこうして何かの縁があったのか、三人でいられる時間が幸せに思える。
竜也を知れば知るほど気持ちは傾き、ぐっと持っていかれて。
気付けばあっという間に恋愛感情に満ちた『好き』という気持ちに支配されている。
こんなに私は単純だったんだなと実感するにしても、この速い展開は、それほど多くないこれまでの恋愛経験を参考にする事もできないし、これからどう進んでいくのかも未知数。
竜也に対する気持ちにどう折り合いをつけて自分の気持ちを整理していけばいいのか、わからない。