いきなり王子様


   *   *   *


重い体で寝返りをうち、ふっと意識を取り戻した時、部屋には明るい陽射しが差し込んでいた。

徐々に覚醒していく自分自身を、再び眠りの中に落とそうか、それともこのまま起きようか。

今日は日曜日だから、もう少し体を休めたい。

とにかく体が重すぎて、腰までかけられているシーツを胸元に寄せようと動かすことすら億劫で。

それでも、上半身は着心地のいいシャツで隠されてはいるものの、腰から下は何故か素肌にシーツ、と。

何やら歌のタイトルのような状態では、落ち着かない。

「とりあえずシーツかけなきゃ」

と節々が痛む体をどうにか起こすと。

瞬間、下腹部に鈍い痛みを感じた。

「あれ……?痛い、けどどうして……」

それに、どうして下着を身に着けてないんだろう。

私が今身に着けている物は、普段部屋着として着ている白い大きめのサイズのシャツだけで。

決してパジャマとして着る事はない物なのに……。

< 170 / 228 >

この作品をシェア

pagetop