いきなり王子様
私の口を動き回る熱も上昇し続けて。
「あっ……はあっ……」
その心地良さが私の声を甘いものにかえていく。
やわやわと私の胸元を這う甲野くんの手から与えられる感覚が、私の中で広がっていって、それまで突っ張っていた強がりな思いをどこかに消していく。
「俺の名前、なんだ?」
相変わらずのその質問は、彼がどんな答えを求めているのか、を簡単に予想させるもの。
『甲野くん』と呼ぶ度に不機嫌な顔になる彼が求めている答えはただ一つで、最初からその答えは明白。
ちゃんとわかっていたけれど、あっさりそう呼ぶのが妙に悔しくて。
絶対に言ってやるものか、と思っていたけれど。
「奈々……言ってみろ」
口の中から消えた熱に寂しさを覚えてそっと視線を向けると、その先には。
きっと私以上に激しい感情が溢れている深い熱がこもった瞳。
触れるか触れないかの距離にある彼の口元から届く吐息は、私に彼を求めさせる力が溢れているようで。
「竜也……」
目の前のオトコに、満足げな表情を呼び起こす言葉を呟かずにはいられなかった。
「上等だ」
今日知り合ったばかりだと言ってもおかしくないこのオトコの懐に捕らえられた、その瞬間。
私は両腕を彼の首に伸ばしてしがみついた。
何を考えているのか、私にどんな感情を抱いているのかわからないこのオトコに、流されるように惹かれてしまう気持ちを、抑える事ができない。
そして、耳元に聞こえる彼の小さな笑い声が、それでいいんだという答えであるかのような錯覚を覚えながら。
ぐっと体を寄せた。
「あっ……はあっ……」
その心地良さが私の声を甘いものにかえていく。
やわやわと私の胸元を這う甲野くんの手から与えられる感覚が、私の中で広がっていって、それまで突っ張っていた強がりな思いをどこかに消していく。
「俺の名前、なんだ?」
相変わらずのその質問は、彼がどんな答えを求めているのか、を簡単に予想させるもの。
『甲野くん』と呼ぶ度に不機嫌な顔になる彼が求めている答えはただ一つで、最初からその答えは明白。
ちゃんとわかっていたけれど、あっさりそう呼ぶのが妙に悔しくて。
絶対に言ってやるものか、と思っていたけれど。
「奈々……言ってみろ」
口の中から消えた熱に寂しさを覚えてそっと視線を向けると、その先には。
きっと私以上に激しい感情が溢れている深い熱がこもった瞳。
触れるか触れないかの距離にある彼の口元から届く吐息は、私に彼を求めさせる力が溢れているようで。
「竜也……」
目の前のオトコに、満足げな表情を呼び起こす言葉を呟かずにはいられなかった。
「上等だ」
今日知り合ったばかりだと言ってもおかしくないこのオトコの懐に捕らえられた、その瞬間。
私は両腕を彼の首に伸ばしてしがみついた。
何を考えているのか、私にどんな感情を抱いているのかわからないこのオトコに、流されるように惹かれてしまう気持ちを、抑える事ができない。
そして、耳元に聞こえる彼の小さな笑い声が、それでいいんだという答えであるかのような錯覚を覚えながら。
ぐっと体を寄せた。