いきなり王子様
パンダのなわとび。そして工場の女の子。
「おかあちゃんは見つけられなかったのに、おにいちゃんは見つけてくれたの。
すごいでしょ?」
誇らしげな璃乃ちゃんの言葉に、
『見つけたのは工場の女の子だよ』
と心の中で呟く私の顔は、きっとどこか硬いんだと思うけれど、それを敢えて構う事なく竜也を見ると。
そんな私の気持ちをわかっているのか、苦笑していた。
別に、工場の女の子と話すなとか付き合うなとか言わないけれど、私がいい気持ちにならないのを見越して言ったんじゃないかと思わせるその言葉はいただけない。
私は、すっと細めた目を一瞬だけ竜也に見せた後、
「優しいお兄ちゃんで、良かったね」
必要以上に明るい声で、そう言うと。
大きく頷く璃乃ちゃんの横で、竜也も笑っていた。
そして、璃乃ちゃんに向けていた表情を私一人に向けると。
「奈々にも今度、何か買ってやるよ」
首を傾げたその甘い声。
なんだかごまかされているような気もするけれど、ただでさえ特別な関係を築きつつある今、それはまさにピンポイントの武器。
私の心にぐっと入り込んでくる言葉だ。
「ねえ、奈々ちゃんに何を買ってあげるの?」
無邪気に問いかける璃乃ちゃんの言葉に、ちらり視線を向けて、でもすぐにそれは私へと戻されて。
「そうだな。璃乃にはなわとびだったから、奈々には、指輪でもあげようかな」
「ゆびわー?いいなあ」
指輪という言葉に、驚いて言葉を失う私と、はしゃぐ璃乃ちゃん。
竜也はそれを面白がるようにくくっと笑って。
「本当なら、なわとびで奈々を縛りたいんだけど、それはかわいそうだから、指輪をあげて俺から逃げ出さないようにするんだよ」
それはそれは平然と。
竜也は璃乃ちゃんにそう言って満足げに頷いた。
「で?指のサイズって?」
「……」
整った顔を絶対に自覚しているような竜也の声に、私は驚くばかりで何も言えなかった。
「おかあちゃんは見つけられなかったのに、おにいちゃんは見つけてくれたの。
すごいでしょ?」
誇らしげな璃乃ちゃんの言葉に、
『見つけたのは工場の女の子だよ』
と心の中で呟く私の顔は、きっとどこか硬いんだと思うけれど、それを敢えて構う事なく竜也を見ると。
そんな私の気持ちをわかっているのか、苦笑していた。
別に、工場の女の子と話すなとか付き合うなとか言わないけれど、私がいい気持ちにならないのを見越して言ったんじゃないかと思わせるその言葉はいただけない。
私は、すっと細めた目を一瞬だけ竜也に見せた後、
「優しいお兄ちゃんで、良かったね」
必要以上に明るい声で、そう言うと。
大きく頷く璃乃ちゃんの横で、竜也も笑っていた。
そして、璃乃ちゃんに向けていた表情を私一人に向けると。
「奈々にも今度、何か買ってやるよ」
首を傾げたその甘い声。
なんだかごまかされているような気もするけれど、ただでさえ特別な関係を築きつつある今、それはまさにピンポイントの武器。
私の心にぐっと入り込んでくる言葉だ。
「ねえ、奈々ちゃんに何を買ってあげるの?」
無邪気に問いかける璃乃ちゃんの言葉に、ちらり視線を向けて、でもすぐにそれは私へと戻されて。
「そうだな。璃乃にはなわとびだったから、奈々には、指輪でもあげようかな」
「ゆびわー?いいなあ」
指輪という言葉に、驚いて言葉を失う私と、はしゃぐ璃乃ちゃん。
竜也はそれを面白がるようにくくっと笑って。
「本当なら、なわとびで奈々を縛りたいんだけど、それはかわいそうだから、指輪をあげて俺から逃げ出さないようにするんだよ」
それはそれは平然と。
竜也は璃乃ちゃんにそう言って満足げに頷いた。
「で?指のサイズって?」
「……」
整った顔を絶対に自覚しているような竜也の声に、私は驚くばかりで何も言えなかった。