先生の誘惑
誘惑


授業中。教科書を読みあげながら、先生は私の横を通り過ぎる。


ふわりと漂うその匂いに、何故だか胸が無性に高鳴り、

ろくに頭にも入ってない教科書から、チラリと盗み見る。


先生の背中が、私を誘惑する。



抱き付きたい。

その腕に抱かれて、先生の匂いに包まれたい。


そんな事を四六時中思っている私は、重症かもしれない。


「先生…あの…」


うるさい鼓動を押し殺し、他の生徒と同様に手を挙げ質問めかす。

「ここなんですけど…」

プリントを覗き込む先生の髪が、匂いが、私の鼻を刺激する。

他の人とは違う、心地よい、いい匂い。

まるで蜜の香りに誘われる蝶みたいに、
先生に、その匂いに惹かれてしまう。


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